リーダーシップ

大学時代、参議院議員東北福祉大学長などをつとめられたこともある萩野浩基先生(故人)の授業を受ける機会がありました。

 

科目は社会政策ですが、あまり関係のない「リーダーシップ」論という内容でした。

 

先生によれば、リーダーシップとは、学術的にいうと「状況の関数」だそうです。

あまり細かい説明があった覚えがないので、自分なりに思い出すと、「リーダーシップ(を取るべき人)は組織の状況が変化するとそれに関連して変化する」という意味ではないかと思っています。

 

また、同じ講義の中で、「組織」についても述べられ、組織とは共通の目的を持った人間の集まりを差し、共通の目的がなくなると自然に解体するそうです。

 

例えば、道に倒れた大木が落ちていた場合。それが邪魔で、道を通れない人が5人いたとする。その5人は共通の目的として、「大木を除去して、道を通る」を共有する組織となります。力をあわせて5人は大木を除去しようとし、例えばロープの使い方に詳しい人が、状況の関数の法則でリーダーとなります。

 

ロープを大木にかけ終わると、次はロープを引っ張って大木を除去しますから、力仕事になれた人がリーダーとなります。そして大木が除去され、道を通り終わると、この組織は解体するのです。

 

この授業を頭の中でぼんやりと覚えていた僕は、出版社入社後2年目(2000年ごろ)で会社組織の中で緊急性の高い共通目的を認識しました。それは、紙から電子データへの待ったなしの移行。出版社での勤務経験のすくない自分が、状況の関数から、リーダーシップをとるチャンスを得たのです。上司にも、「〇〇(僕)」を中心にやっていく、といわれました。

 

先述のとおり、ペーパーレスによる業務効率化は成功し、僕は有頂天になっていました。ただ、状況はすでに変化し、僕のリーダーシップは終わっていました。経験のさらに少ない後輩にリーダーシップは移っていたのです。「船頭多くして船山に登る」といいますが、僕はすでに指示を受けるべき側になっていたのです。

ただ、この間約1年半程度だったでしょうか。リーダーシップをとるという素晴らしい経験をさせてもらっていたのです。

 

組織は生き物です。常に変動をしなければ持続的に存続できないもの。かといって、その変化が速すぎれば周りの人はついてきてくれない。早すぎる変化は、状況にもよりますが周りの人々に不安を与えることが多いように思います。ゆっくり変化することが、円満に達成する秘訣かもしれません。

 

今40歳を超えて、若い人にリーダーシップをとって仕事をお願いすることを意識してやっています。結果もそこそこ良好です。やる気のある若者を育てるには、リーダーシップを与えるのが一番の方法ではないかと思います。

 

 

高校生からわかる社会科学の基礎知識